技能実習と特定技能
Difference
『技能実習と特定技能のどちらを受入れるべきか?』それぞれの違いを詳しくご説明します。
制度の趣旨
技能の移転および国際的な協力
日本の技術や知識を発展途上国に移転し、その国の発展を支援することを目的としています。技能実習生は、母国では学びにく い技術や知識を日本で習得します。そして、企業はその学びの場を提供します。つまり、この制度は労働力を確保するためのもの ではなく、技能実習生が日本で学んだ技術を母国に持ち帰り、国際的な貢献を果たすことを目指しています。
日本の労働力不足の解消
特定技能は、日本国内の深刻な人手不足を解消するために設けられた在留資格です。この資格を取得するには、「相当程度の 知識や経験」が求められます。具体的には、技能試験や日本語試験に合格しなければなりません。つまり、特定技能は、人手不足 の業界で即戦力として働ける外国人に与えられる就労資格ということです。
採用方法
監理団体型
技能実習生の受け入れには、「団体監理型」と「企業単独型」の2つの方式がありますが、一般的には「団体監理型」が多く利用されています。この方式では、受け入れ企業は監理団体に人材の紹介・確保を委託します。監理団体は、現地の送出し機関と直接連絡を取り、技能実習生の受け入れプロセスを企業の代わりに実施します。
直線雇用または、職業紹介事業者を介し、
登録支援機関の支援を受けての採用
国内にいる特定技能1号の外国人は、日本人と同じ方法で企業が直接採用できます。または、職業紹介事業者を介し、登録支援機関を利用して採用することもできます。国外にいる特定技能1号の外国人については、直接海外で採用活動を行ったり、国外の紹介機関を通じて採用することも可能です。
対象職種
90職種 166作業
2024年8月時点
●農業関係(2職種6作業) ●漁業関係(2職種10作業) ●建設関係(22職種33作業)
●食品製造関係(11職種19作業) ●繊維・衣服関係(13職種22作業)
●機械・金属関係(17職種34作業) ●その他(10職種38作業)
●社内検定型の職種・作業(2職種4作業)
特定技能16業種
2024年8月時点
●介護 ●ビルクリーニング業
●素形材産業・産業機械・電気電子情報関連製造業 ●建設業 ●造船・舶用工業
●自動車整備業 ●航空業 ●宿泊業 ●農業 ●漁業 ●飲食料品製造業 ●外食業 ●自動車運送業
●鉄道 ●林業 ●木材産業
活動内容
技能実習計画に沿った取り組み
外国人技能実習制度は、発展途上国の経済発展を支える「人材育成」を目的としています。単に人手不足を補うために、単純作業ばかりをさせるのでは、目的である技術習得にはつながりません。そのため、技能実習生には技能実習計画に基づいた具体的な活動が求められています。実習期間中に、職種ごとに定められた重要な技術や業務を必ず教えることが必要です。これを守らないと、技能実習の取り消し処分になることがあります。技能実習生が、無事に母国へ技術を持ち帰れるよう、計画通りの内容で実習を行うことが重要です。
高度な知識、経験、技能を必要とする
業務に従事する活動
出入国在留管理庁の審査に通過すれば、事業所内でどのような作業をしても基本的には問題ありません。特に人手不足に悩む企業にとって、特定技能の外国人を雇用することは、活動内容に関する規制が少ない点でメリットがあります。しかし、外国人だからといって何でもやらせて良いわけではありません。日本人と同じように扱い、もし日本人でも辞める人が多いような職場環境であれば、まずは働きやすい環境を整えることが必要です。
在留期間
通算5年
技能実習1号(1年) 技能実習2号(2年) 技能実習3号(2年)
通算10年
特定技能1号(5年) 特定技能2号(5年以上)
受入れ人数
常勤職員の総数に応じた人数枠あり
人数枠なし
建設分野と介護分野では受け入れることができる人数枠が設定されています。
●建設分野:1号特定技能外国人の数が、受入機関の職員(外国人技能実習生、1号特定技能外国人を除く)の総数を超えないこと
●介護分野:事業所で受け入れることができる1号特定技能外国人は事業所単位で日本人等の常勤介護職員の総数を上限とすること
転職
原則不可
技能実習制度では、在留目的は「就労」ではなく「実習」です。そのため、「転職」という考え方はこの制度にありません。ただし、企業が倒産した場合や、技能実習2号から3号へ移行する場合に限り、転職が可能です。人手不足の企業にとっては、離職率の高さが人材不足の一因になることがあります。技能実習では転職の概念がないため、一定期間安定して人材を確保できる点が、企業にとってのメリットとなります。
可能(同業種内)
特定技能は「就労」を目的とした資格であり、同じ職種であれば転職が可能です。企業にとっては、転職されるリスクがあるものの、特定技能2号の対象職種であれば、定期的な更新によって無制限で雇用を続けることができます。そのため、離職率が比較的低い企業にとっては、長期的な人材確保につながる可能性があります。
家族帯同
基本的に認められていません
特定技能1号は基本的に認められていません。
特定技能2号は要件を満たせば、家族(配偶者・子)の帯同が可能です。
入国時の技能水準
なし
日本の技術や知識を発展途上国など海外へ移転し、その国の発展に貢献することを目的とした制度です。各職種の技能は、基本的に日本での実習を通じて習得しますが、但し技能実習生は実習しようとする職種の業務に従事した経験がなければなりません。
高度な知識と経験が必要
日本国内の深刻な人手不足を補うため、人手不足の業界で即戦力として働けると認められた人のみが、この制度で就労できます。そのため、まず技能試験に合格しないと就労資格が得られません。受け入れる企業にとっては、即戦力として働ける人材が来るというメリットがありますが、求職者にとっては、面接の前に技能試験に合格する必要があるため、ハードルが高くなっています。このため、応募者が集まりにくいという現状もあります。(但し、技能実習2号を修了した者は同じ職種であれば、日本語及び技能評価試験は免除され移行することができる)
入国時の日本語水準
なし。ただし、介護職種のみ入国時N4相当必須
技能実習では、送出し機関が入国前に教育を行ったり、監理団体が入国後に講習を行ったりして、日本語を学びます。しかし、介護職以外の職種では、入国時に必要な日本語のレベルについての規定がないため、入国する際の日本語能力は保証されていません。
日本語能力試験N4以上
日本国内の深刻な人手不足を解消するためには、人手不足の業界で即戦力として働ける人材が必要です。そのため、特定技能の就労資格を取得するには、まず日本語試験を受けて能力を測定し、合格しなければなりません。
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